2005年08月15日

母の終戦

KONAが拉致問題について話す時、同時に話さなくてはならない事があります。金政権による人権侵害と言う、同じ根源の問題として、北朝鮮の地で圧政によって苦しめられている、北朝鮮人民の人権についてです。

まず、説明しておきたいのは、なるべく、『北朝鮮』と『金政権』と言う風に言葉を使い分けるようにしていることです。
北朝鮮が悪いと言ってしまうと、配給の食糧もなく、飢餓に苦しむ人々、強制収容所利用の恐怖政治によって仕方なく、命令に従っている(拉致被害者かもしれない)人々まで、「北朝鮮が悪い」という言葉で、金政権の悪政と一緒にされ、誤解されてしまうからです。
まだまだ、その辺の感覚がズレていて、『北朝鮮(人民に)人権を!!」というと、「金政権に人権を!!」と聞こえてしまう方がいらっしゃるようなので、KONAは使い分けに注意しています。

KONAの家族は、兄・清文の失踪が、北朝鮮による拉致かもしれないというだけではなく、奇遇にも母が、朝鮮半島からの引揚者であり、母方のおじいちゃんは、半島で病死し、あちらの土になっています。拉致問題によって、朝鮮半島について知識を得るまで、おじいちゃんのお墓参りに行けないこと、兄の墓に参るたびに、違和感を感じていました。

KONAの母は、昭和十年春、「朝鮮はいい所だ」と勧められ開拓に行った朝鮮半島(多分板門店付近ではないかと思われます)で、祖父母の間に四女一男の末っ子として誕生しました。(当時役所への届が遅れて戸籍上の誕生日は秋になっています)
物心ついた時には、祖父は離れで病の床につき、結核だったのか、母は近づく事が許されなかったと言います。
ある日、直前に人形が欲しいと駄々をこねた母は、家族が出かける際に、留守番をさせられたそうです。外で一人で遊んでいると、「ふみ〜ふみ〜」と祖父に呼ばれ、「お腹がすいたから、握り飯持ってきてくれ」と頼まれ、生まれて初めて一生懸命握ったおにぎり、5つを持っていくと、ピンポン玉大の小さなおにぎりを、一口で食べる祖父にビックリしたそうです。
生きている祖父の顔を見たのは、その一度きりで、母にとって、父親の一番の思い出だそうです。

そして母が6才、開城の日本人小学校の入学式から帰ると、祖父は亡くなっていたそうです。その時に、亡くなった祖父の顔を見たのが最後でした。祖母は女手一つで五人の子供を育てましたが、朝鮮に居た間は、一緒に働いていた朝鮮の皆さんに支えられ、日々平穏に暮らしていたそうです。当時の母には、現地の朝鮮の人より、サーベルを下げて歩く憲兵の方がおそろし
かったといいます。
そして母が十歳になる年、昭和20年に終戦となりました。母の姉達が、職場から泣きながら帰宅し、敗戦を知らせたそうです。畑仕事や、家事をしてくれていた、朝鮮の人達には、「かくまってあげるから、帰らないで」と言われましたが、外では、日本に勝ったと騒ぐ人も居て、女手一つの家族では恐ろしく、祖母は、日本に帰る決心をしたようです。
日本に帰る時、家事を手伝ってくれた、朝鮮人の人が、もち米の焼き米を、「そのままでもたべれるし、水につければ、ご飯みたいに食べられる」と、はぐれても困らないように、一人一人に持たしてくれました。(西村幸祐さんのブログ
http://nishimura-voice.seesaa.net/article/5550074.html
に紹介のある漫画「嫌韓流」でも主人公の祖父が、当時地元の朝鮮の人々と仲良くしていた様子を話すエピソードが出ていますが、母の話と同じだと思いました。)
夜中に、一番小さい母は、引き上げる人の人波に、はぐれてしまわないように、祖母に手を引かれて、開城まで歩き、貨物列車に押し込まれ、釜山で三日野宿して、下関に行く船に乗りました。
日本に帰る船の中、私と同じく好奇心旺盛な母は、一人で甲板に出たそうです。そこで目にしたのは、憲兵に「小さい子供は、敗戦した日本に連れて帰っても、育てられない。ここで海に捨てるように。」と言われ、自ら子供を投げ捨てられない親達が、憲兵にお金を払い、子供を海に投げ捨ててもらうといった光景でした。
「おかーさーん、おかーさーん」と泣き叫びながら、最後には髪の毛が、ぷかぷかと波間に消えて行く酷い光景を、鮮明に覚えているそうです。自分がもう少し小さかったら同じようになっていたかもと言う思いと共に。
無事下関に帰国した母は、祖父母の出身地である福島県に帰り付きました。

兄が拉致されていたとしたら、母は、なんと朝鮮半島に繋がりがある人なのでしょうか。今はお祖父ちゃんが兄を守っていてくれる事を祈りながら、お盆、終戦の日を迎えるKONAと母です。







posted by KONA at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | こんな事でもコナボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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